団地リフォームに先だって、自分自身で調べた方が良い5つの点
中古マンションを購入し、利便性の高いエリアに住まうという選択をされる方が増えています。
これは、いわゆるところの「団地」でも見られる現象です。
同じ分譲(買い手のものになる)でも、マンションと団地とでは何が違うの?という疑問がまず浮かびます。
ごくごく一般的には、
- 昭和40年頃をピークに当時の住宅供給公社などの公的機関や自治体が開発した集合住宅が団地
- 比較的築浅で民間の土木・建築業者が建てた利便性の高いエリアに高くそびえ立つものがマンション
として呼び分けられているようです。
昭和40年に建った建物となれば、築年数は50年ほど。
躯体がよほどしっかりしていても、間取りや設備が古びて使いにくい状態のものも多いのが現状です。
いわゆるところの「団地」を購入してリフォームを、とお考えの方に、検討しておいて頂きたいポイントをいくつかお伝えしたいと思います。
1.基本的に壁を落とすなどの大掛かりなリフォームはできない
建物の外周や、世帯同士の間に入る壁でがっちりと支える「スケルトン&インフィル」の建物でないケースがほとんどです。
そのため、その世帯(部屋)の壁や柱も支えの一つとなっているため、大きく間取りを変更することはほとんど不可能と考えてよいでしょう。
この面から考えると、「間取りよりエリアの利便性」を選択する方に向いていると言えます。
さりとて、やはり購入した部屋にはなんとか手を入れたいとお思いの方向きの専門業者もいますし、既にある壁板を利用してDIYし、インテリアなどで美しく部屋を変化させることに楽しみを感じておられる方のブログなども多く存在します。
「今あるものでどこまで我慢できるか」「それを上回る利便性がある土地なのか」のバランスが、団地購入の決め手となるはずです。
UR(独立行政法人都市再生機構・旧公団住宅)の「連載コラム・”団地の魅力”」(http://www.ur-net.go.jp/muji/)が参考になります。
2.現代日本人の身長に合っていないことも
古典的な団地の天井高は2.3メートル程度と言われます。
そのため、浴室への入り口やトイレの入り口、部屋を仕切る障子(ドア)上部の鴨居などはさらに低く、165センチほどのものが一般的。
そもそもの天井高が2.3メートル程度ですから、それも致し方ないところです。
身長の高い方には圧迫感があるかもしれません。
その面をおおらかに受け止めることのできる方が、「団地向き」でしょう。
3.多少の生活音は「お互い様」と考えよう
団地のリフォームの際は、是非とも防音の床を入れるようにおすすめします。
そもそも防音の考え方のほとんどなかった時代の建物ですから、せっかく手を入れるのであれば可能な範囲で防音の対策を取ってください。
特に上下の関係で生活音が響き合えば、いい思いはしません。
更に、長い間空室であった部屋を購入したのであれば、その部屋の階下の人は「無音」の状態に慣れていますから、椅子を引く程度の些細な音であっても敏感になってしまうはずです。
防音の床にする、防音機能を持ったカーペットを敷くなど、精一杯の対策を施すことが必須でしょう。
これは、新たに入居する人の側にも言えることで、他の世帯の音が常識の範囲内であれば「お互い様」と思えるだけの余裕を持っていただきたいと思います。
生活には、様々な音がつきものですし、こちら側(新たに入居する人)も、知らぬ間に迷惑をかけているかもしれません。
4.リフォーム以前の「気になる点のチェック」
見学のために部屋に入れてもらったならば、部屋の隅々まで歩いてみましょう。
「見ていない部屋がないように」という意味ではありません。
板張りの部分などの床に、歩いた時にキシミやへたりが無いかなどのチェックのためです。
また、バスルームがタイル張りであれば、トイレのドアをノックする要領でそのタイル面を叩いてみてください。
余りに軽い音がする部分はないでしょうか。
もしもそういった部分があればタイルが剥離する寸前である可能性が高いため、早期のリフォームが必要です。
扉の類(サッシやふすまを含むすべて)は、必ず開け閉めしてみましょう。
引っ掛かりや変な音がしたりしませんか。
同じような間取りの部屋をいくつか見せてもらえるようならば、これらのポイントで一番好条件のものを選びましょう。
いずれリフォームするものだ、と言ってはみても、やはり傷んでいるものを根本から手入れしなくてはならないのと、表面だけを張り替えすればよいのとではコストに大きな開きが出ます。
5.周辺地域をきちんと調査
上記の「生活音」の点でも多少触れましたが、ある意味で「他の世帯とも生活を共にする」のが団地です。
最新のセキュリティ面でばっちりのマンションならばいざ知らず、「近いうちに引っ越しをしてくるかもしれない者ですが」とお邪魔するのも悪い事ではありません。
特に入居を希望している部屋の上下左右に入居している方に、住み心地をインタビューしに行ってみるのはいかがでしょう。
仲介してくれる業者さんと共に、もしくはご夫婦で…
- 「もしかしたら越してくるかもしれませんので…」
- 「お住まい心地はどうですか?」
- 「注意しておくことはありますか?」
- 「買い物などはどこが便利ですか?」
と後輩としてお尋ねすれば、色々とアドバイスをくださるかもしれません。
そのような下調べの際に、ドアの扉越しであってもその生活ぶりはうかがい知ることができますし、ご親切な方であればお部屋を見せてくださるかもしれません。
ご近所さんとなるであろう人たちの人柄も事前に知ることができます。
本当にその場所に越すことになったときにも、「挨拶を欠かさない人」とよい印象を抱いてもらえる事でしょう。
そして、とても大事なのは、管理事務所があるのであればそこを訪れることです。
「購入してリフォームすることを考えています」と伝えれば、実際にリフォームした世帯を紹介してもらえるケースもあるとのこと。
実体験ほど強いものはありません。
情報は足で稼ぐ
専門的なことは建築家や、団地専門のリフォーム業者に任せるとして、団地の一室を購入する人自身でできる調査項目がいくつかありました。
- 基本的に壁を落とすなどの大掛かりなリフォームはできない
間取りは変えることができないことがほとんど。
工夫次第で満足できるか、利便性を一番に考えるかの折り合いが大事。 - 現代日本人の身長に合っていないことも
天井高そのものが現在のサイズよりも低め。
身長の高い人は現地に行ってみて、我慢できる程度かどうか必ず確認。 - 多少の生活音は「お互い様」と考えよう
防音という考え方のなかった頃の建物であることがほとんど。
そのため、リフォームするのなら防音を意識したものにする必要がある。 - リフォーム以前の「気になる点のチェック」
床のたわみ、タイルの剥がれ落ちなどがないかは触れてみればある程度わかる。
実際に部屋中を歩き回り、チェックを。 - 周辺地域をきちんと調査
いずれ住むことになる場所ならば、その団地に住んで長いご近所さんにインタビューもよし。
特にお目当ての部屋の上下左右に住環境について尋ねてみる。
管理事務所があれば、いろんな情報が手に入るかもしれない。
購入してリフォームするにしても、どこまで行えばよいのかを考えた時に、そもそもの「素の状態」がよいのに越したことはありません。
似たような空き部屋があるのであれば、複数を見た上で、一番手がかからないと判断できる部屋にした方がよさそうです。
同じリフォーム費用をかけるのであれば、軽微な手直しで住めるのがベストだからです。
古典的な団地では、正直収納が不足気味。
予算から浮いたお金で、オシャレな収納家具を購入できるかもしれません。
「素の状態」の良い部屋を探し出すのが、よい買い物の仕方です。
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