鵜沼の家(傾斜地に建つ建築家自邸)
- ジャンル
- 事務所・店舗・医院等を併設する住宅
- 予算
- 2000万円台
- 延床面積
- ~150平米
- エリア
- 岐阜県
鵜沼の家は、自邸である。
計画は敷地選びから始まった。実家に近いという条件で、南に開いている所を探した。高低差があり、建物を建てるのに面白そうな土地が見つかった。
濃尾平野の最北端。平野が終わり、ちょうど山地に切り替わる段差のある敷地に建っている。
北側道路(主要道路)と南側道路に挟まれた敷地であり、その高低差は3.4m程度ある。敷地の地盤は南側道路から1m程度上がっており、その高さをそのまま設計GLとした。
プランは正方形である。南側に開いた土地の場合、東西に間口を長くとるのが常套手段だが、力が逃げる恐れと、間口の長さの決定に対し、様々な考えが現われる事を避けた。
また、敷地に対して正方形を45°傾けている。これは、主要道路から直接覗かれない面が2面取れる事が大きな理由である。またこの傾きによって、正面から見ると軒がより長く出る、アプローチの角度を建物に対して斜めに取る事ができる、角の開いた解放感を得る事ができる、隣家との目線を外す事ができる等、様々な利点が得られた。
敷地の高低差を利用して、アプローチは2階からとっている。主要道路からは平屋のように見せることによってプロポーションを引き締め、アプローチを橋とする事で、来訪者に緊張感を与え玄関までの距離がより長く感じられる効果も期待した。
建物の構造は1階RC造、2階壁RC造、屋根・柱木造という混構造を採用している。地震力はRC壁で受け、木造の軽い屋根荷重は木で受ける事が合理的だと考えた。また構造がそのまま仕上げとなる事にも魅力を感じた。
プランはコストと、家族4人+アトリエのある最低限の広さを考え、正方形の一辺の長さを7.2mとした。一番気持ち良さそうな場所をダイニングの位置を決めると、その他の配置は素直に決まっていった。回遊性があり、寝る事以外はすべて2階で生活できる様に計画した。
また、素材は経年変化を受け入れられる物を多用した。コンクリート、無垢材、真鍮といった時が経ち味の出てくる物を使用した。
田園風景があってこそ成り立つこの建物は、その景色を壊さない、ずっと昔からあったような建物になっていく事を願っている。