徳島の家
徳島県 戸建住宅 ~100平米 2000万円台
敷地は三熊山の麓、静かな場所にある。
クライアントからの要望はシンプルな平屋の家であった。
敷地はどこにでもある分譲地に見える。
一般的な分譲地にある建物の建ち方としては日当たりを優先し
南側に小さくても庭をとり北側は閉じられていることが多いが
この敷地においてはそうした建ち方がふさわしくないように思えた。
そこで南北とも同じ窓の取り方をし、ウッドデッキを双方につくることで
南北の庭がどちらも使えるような配置としている。
そうした配置により風はよく抜け、家の中にやわらかく光は拡散する。
大きな切妻の屋根の下、家族の暮らしをおおらかに
包むうつわとしてその在り方はふさわしいように思えた。
そうしたおおらかさは仕上げにも共通している。
壁は土佐漆喰と漆喰。床はオークの無垢材。天井はペンキ。
木は杉、ニヤトー、メラピ、ラワン、タモと様々な材が使われている。
要素を少なくしてシンプルにするということよりも、
多様な要素のどれかが突出することなくそこに在る状態に
することで、温かくて静けさがあり、包容力のある雰囲気となった。
家ができた時クライアントに言われたことがある。
無印の家のようなシンプルな家を最初はよいと思ってたが
真っ白な空間はどこか魅せながら暮らすという部分がある。
部屋が散らかっていても気にならないような
シンプルな暮らしのできる家であることが自分たちには合っていて
この家はおおらかな暮らしを包み込むうつわであると。
見た目はふつうだけれども、この家の持つおおらかさを
感じてもらえてとても嬉しく思う。