陽傘の家
東京都 戸建住宅
リタイア世代のすまい方のポジティブな可能性を探すプロジェクト。
新天地への移住に際して、後から移る者として地域に貢献し開いていたい、という夫婦の考えのもと、元幼稚園教員の夫人の子供文庫、器楽奏者の夫の簡易ホールを中心に開放性のある住まいが求められた。
しかし、新しい場所で開放と両立するプライバシーも必要ではないか。また、長い時を過ごす空間が豊かであるよう、多様性と展開性のある場をつくり、それが同時に、広く/奥に竹林や小川を抱く奥深い地形を活かすよう考えた。
動物が安心する場所は、見晴らしが良くかつ身を隠せる場所だと聞く。
大屋根の下で矩のついたてが隙間を空けて緩やかにつらなる空間、これを貫く斜めの軸の奥にプライバシー、手前に開放性が高まるよう機能を配置し、軸の左右に交互に重なる矩のついたてが自然な隠れ処にもなる。矩の隙間から、光や緑と地域の顔・風景とが行き来し、豊かな共存が立ち現れるだろう。