在来工法とは?他の工法との坪単価・メリット・デメリットの比較と、耐震性について

在来工法とは?他の工法との坪単価・メリット・デメリットの比較と、耐震性について【専門家監修】 注文住宅
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※この記事は「藤原直樹様」による専門家監修記事です

家づくりを考え始めた方には、

「どのような建て方があるのだろう」「さまざまな工法のうち、自分が検討すべきものは何だろう」「それぞれのよさを知りたい」

というご希望がおありでしょう。

近年日本国内で採用されている工法の内訳(在来工法/ツーバイフォー工法/木質系プレハブ工法)とそれぞれの特徴、そして在来工法の今後について一建築家としての考えを記したいと思います。

本文に入る前に、この記事を読んでいるあなたへとっておきの情報をお伝えします♪
 

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1.在来工法とは

在来工法とは、柱や梁など、家の構造の主な部分、つまり軸を組むところから「木造軸組工法」とも呼ばれます。

在来工法の読み方は「ざいらいこうほう」です。

「在来木造」、「在来軸組工法」などの呼称もありますが、これらもまた在来工法を指しています。

基本的に柱や梁を組み、「点」で家の強度を実現するものですので、間取りが自由に検討できることが大きなメリットです。

在来工法には、そもそも日本家屋を建てるため用いられてきた伝統工法を、近年の建築のルールである建築基準法に沿わせながら少しずつ変化させてきた経緯があります。

木造の家、特に在来工法であれば、例えば家が傷んでしまった場合でも、本当に必要な部分だけ手入れをすればよいのもメリットです。

しかしながら、手入れをする際には、「どこがどう悪いのか」「どこまで木材を入れ替えればよいのか」を正しく見極め、適切な施工ができる在来工法に精通した大工・職人が必要です。

2.在来工法と伝統工法の違いは?在来工法の工夫や費用などわかりやすく解説

では、ここで在来工法の歴史についてお話したいと思います。

木造軸組(在来工法)は、数世代に受け継がれる堂々とした伝統的な日本の建築物(いわゆる古民家)で用いられてきた「伝統工法」をベースに、その時代その時代に合うよう進化を遂げてきた家づくりの方法です。

柱と梁を接合するために、継手(つぎて)や仕口(しぐち・しくち)などの木材加工を施し、しっかりと組み合わせることが特徴です。

木組み(接合部)を「点」で支えるつくりですので、地震による揺れは、しなりにより「逃がす」ことができます。

現在では、過去の伝統工法で用いていたほど立派な木材はあまり手に入りません。

また、予算面をも考慮して柱は伝統工法の頃よりも細くなる傾向にあります。

これをカバーするため、現在の建築基準法では筋交い(すじかい・筋違と記述することもある)や、柱と土台や梁・桁の接合部に金物(ボルトや金属プレートなど)を取り付けて補強することが求められています。

2-1.在来工法におけるリフォームについて

在来工法でのリフォームは、他の工法に比べ容易です。

というのも、ツーバイフォー工法など「面」で強度を実現している家づくりの方法とは違い、「点」で支える在来工法は、手を加えやすいのです。

もちろん、強度の面から、リフォームの際に取り除けない柱が生じてしまうことはままあります。

しかしながら、壁そのものが家の支えとなっているツーバイフォー工法よりははるかに自由度が高いといえます。

2-2.金物について

継手や仕口の強度を高めるため、金具を用います。

以下、代表的な金具を紹介します。

※在来工法で用いる金具と、金物工法とは全く異なります。在来工法での金物は継手や仕口など接合部分の強度を高めるためのもの、金物工法(SE構法など)は接合部を金物にするものです。

  • 羽子板ボルト=まさしく「羽子板」の形状で、梁T字型に交わる部分に取り付けます。棒状になった部分を受け入れるよう、事前に梁の一部に穴を開けそこに差し込み、平たい部分は直交する梁にボルト・ナットで取り付けます。
  • ホールダウン金物=地震による揺れに対抗するため、建築基準法では壁に筋交いを入れることが求められています。しかしながら、壁が強固になると、揺れは柱を引き抜こうとする動きに変わってしまいます。この動きを低減させるため、柱と梁、柱と土台を固定するため、ホールダウン金物が用いられます。コンクリート基礎に直接埋め込み柱に通す棒(アンカーボルト)や、梁側に穴を開けて柱側から棒を伸ばすビス留め式金具などが用いられます。
  • 角金物=T字型・L字型の平たい金物です。T字型は土台・柱・梁など複数の木材を固定するときに、L字型もT字型と同様の使い方をします。
  • ひねり金物・折り曲げ金物=平たい金具をひねったり、折り曲げたりしたものです。桁と垂木(たるき・屋根を支える部材のひとつ)など、留めたい木材同士の角度・位置が異なるときに使用します。

2-3.耐震のための工夫について

基本的に「点」で強度をつくりあげる在来工法の家ですが、建築基準法により強度確保のため必要な事柄が決まっています。

筋交いを入れた耐力壁、構造用合板を用いた面材耐力壁など、必要に応じた量を配置します。

最近では、一般戸建て住宅向けの油圧式ダンパー(制震・免震)などを取り入れる家もあります。

建物の4方向にバランスよく入れなければなりません。これは設計のときに充分検討しなければなりません。

3.在来工法・ツーバイフォー・木質系プレハブの比較

一般戸建て住宅を建てる際に採用されているのは、約74%が在来工法、約11%がツーバイフォー、木質系プレハブが約3%、木質系以外のプレハブが約10%と続きます(住宅着工戸数及び住宅ストックの現状(平成26年度)│国土交通省)。

ここで、上位の在来工法とツーバイフォー、木質系プレハブ(木質系パネル工法とも呼ぶ)を比較してみます。

3-1.【在来工法】坪単価、メリットとデメリット

在来工法は木を1本1本現場で組むという点で坪単価は高く、工期ともに長くなる傾向にあります。

しかし、家ができていく過程を楽しむことができるのは在来工法の特徴であり、自由なプランニングが可能というのが大きなメリットです。

在来工法の坪単価

在来工法の一般的な坪単価は、概ね65万円~です。

しかしながら使用する木材の種類や太さ、キッチンやバス・トイレなどの設備をどのランクにするか、造作家具を取り付けるかなどで大きく変化します。

とはいえ、予算ありきで家づくりに取り組む場合、建築家や工務店は可能な限りそれに沿う提案をしてくれます。

メリット6つ

  1. 間取りが自由
  2. 広い窓を作りやすい
  3. あたたかな木の雰囲気を楽しめる
  4. 国内産・地元産の木材を積極的に用いることができ、環境にやさしい
  5. 増改築がしやすい
  6. メンテナンスがしやすい

デメリット2つ

  1. ツーバイフォーに比べ施工期間は長め
  2. ツーバイフォーに比べ建築コストは高め

3-2.【ツーバイフォー】坪単価、メリットとデメリット

ツーバイフォーは、断面が短辺2インチ×長辺4インチの角材を枠として組むことからその名となりました。

既製サイズで作りますので、材料が手に入りやすく比較的安価であることが特徴です。

しかしながら、屋根を先に掲げる在来工法とは違い、足元から組んでいくという特徴から、工期内の天候が気になってしまう面があります。

ツーバイフォーの坪単価

一般的な坪単価は、概ね55万円~です。

比較的安価ではありますが、デザイン・間取りの面では選択肢が少なく、もしも規格から外れるときは対応できないと断られる、もしくは割高になってしまいます。

メリット3つ

  1. 在来工法に比べ建築費用が安い
  2. 在来工法に比べ施工期間が短い
  3. 火災保険・地震保険にかかる費用が安い

デメリット4つ

  1. 規定ルール内での間取りしか作れない
  2. 用いる木材(規格化木材)はいまだ海外産が多いが林野庁は国内産を用いるよう推進中
  3. 広い窓を作りにくい
  4. 増改築やリフォーム・メンテナンスがしにくく、どうしても手を入れるときはコストがかかる

3-3.【木質系プレハブ】坪単価、メリットとデメリット

構造自体はツーバイフォーとほぼ同じものです。

現場で木材を組み上げる手間と時間を極力抑えるため工場で「パーツ」を生産、敷地に運び込んでブロックのように組み立てていきます。

家のできる早さの点ではメリットがあります。

木質系プレハブの坪単価

一般的な坪単価は、概ね45万円~です。

取り扱っている会社は少なく、S×Lの一部商品、もしくはミサワホームが該当します。

商品のラインナップにより価格帯が大きく違い、規格ありきではありますが家のイメージはある程度選べます。

メリット3つ

  1. 在来工法に比べ建築費用が安い
  2. 在来工法に比べ施工期間が短い
  3. 部材を工場で作っているので、品質が安定している

デメリット3つ

  1. 決まったプランの中から選ばなければならない
  2. 決まったプランを外れた仕様を求める場合、コストが跳ね上がる
  3. 敷地や敷地への入り口が広くない場合、部材搬入ができないことも

4.在来工法は「自由に・環境にやさしい家」を建てたい方におすすめ

家を建てたいと考え、少しでも情報収集をしたことのある方であれば、思い通りの家を手にする手段が唯一「注文住宅」であることをご存知のはずです。

あなたにとって大事な家は、「夫婦ふたり」「子育て中」「子供が巣立ったあと」と、最低でも3度“変化”します。

在来工法なら、増改築やリフォームといったニーズに柔軟に応えてくれる上、柱や梁などが傷んだとき、その部材の補修・交換もできます。

在来工法の家は計画が自由にでき、環境にやさしいといえるでしょう。

すでに触れたとおり、用いる木材を可能な限り国内産・地元産から自由に選べるのもツーバイフォー工法などとは一線を画した在来工法のメリットです。

安い国外産木材もありますが、これらの輸送のために燃料を大量に消費していますので、決してエコロジーとはいえません。

実は日本の国土の3分の2は森林で、量にも恵まれているのです(国土を知る/意外と知らない日本の国土)。

国外産木材は国産材より安いとされていましたが、一部の木材は過剰伐採による品不足のため国産材より高い場合があります。

5.在来工法と「熊本地震」

さて、2016年に起きた熊本地震ですが、その直後に私も被害調査のために阿蘇郡産山村、南阿蘇村へ入りました。

個人的つながりから、産山村の被災家屋調査をおこなうことになり、仲間の建築士9人と共に現地に入りました。

これから家を建てようと考える方のヒントにしていただきたく、記述してみます。

5-1.在来工法の耐震性は?-調査に入ってみて-

調査期間は2016年4月下旬より2017年4月中旬まで約1年間、調査戸数は500軒を超え、その結果、明らかに倒壊した住宅は1軒、全壊及び大規模半壊、半壊の住宅が約半数ほど確認できました。

南阿蘇村で特に目についたのが、間口に対して奥行きの長い建物の被害です。

これは細長い平面の建物は地震の揺れに対してねじれを起こすためだろうと考えます。

昭和56年(1981年・いわゆる「新耐震基準改正」の年)以後に建築されたであろうと思われる住宅も倒壊していたものも確認できました。

また、外観の被害はそれほど無いように見えても、内部の破壊が大きなものも確認できました。

その建物では、地震の揺れに抵抗するはずの筋交いが破断している箇所が4箇所ほど確認でき、その筋交いは木の節の部分が大きく破壊されていました。

このことを考えると、筋交いや火打ち材(水平の外力に抵抗する部材)などの構造補強材は、木の節のない材料を使わないと地震力には不利なことが分かりました。

また、傾斜地での擁壁のズレや崩壊に伴う家の地盤沈下が見られ、擁壁設計の重要性をも物語っています。

その土地の持つ性質の見極めと、それに合った家・擁壁の設計、家づくりにかかわる職人の腕の“三位一体”によって、良い家ができるのだと再認識した次第です。

5-2.在来工法の根源、「伝統工法の家」はどうなった?

伝統工法の歴史は古く、竪穴式住居に始まりました。

これまでの間、幾多の自然災害に遭遇し、被災したはずです。その度にその時代の建築に携わる職人たちは、構造的な改良を加え補強する術を見出してきました。

それが在来工法の基礎になり今日に至っています。

そして、100年、200年経過しても当時の姿を今に伝える町並みや古民家が現存していることになります。

例えば、基礎部分が石場建て(いしばだて・天然石やコンクリートの基礎に直接柱を建てたもの)の伝統工法の家の場合、基礎石から家が落ちただけで済み、たった1日で家を元に戻せたという例があります(大工たちによる「家戻し」の記録│職人がつくる木の家ネット)。

そもそも家自体が木のしなやかさを活かしながらもしっかりしたものであったこと、基礎にがっちりと固定しない石場建てであったことにより、「家が横移動するだけで済んだ」ともいえます。

曳き家(ひきや・家を丸ごと横に移動させる古来からの移築法)で家を元通りにできたケースです。

5-3.日本から「日本らしい家づくり技術」が消えることの不安

先のような丈夫な家は、立派な木材と、その木1本1本の性質を見極めて仕口や継ぎ手など手刻みできる職人の技が生み出したものです。

今現在用いられている在来工法の多くではこのようにはいきません。

木材加工所で設計図どおりに事前加工(プレカット)された木を現場で組み立てる家づくりがほとんどですので、伝統工法の技を身につけた本物の職人が激減しているのです。

日本各地には「高等技術専門校」などの名で、建築だけでなく木工など「木に関わる技術」を教えている科を抱える学校がいくつもあります。

このような学校の講師は、その地域で名を知られた大工さん・左官さんなど、腕に覚えのある方ばかりです。

もしもあなたが、「家を建てることそのもの」に関心があるのなら、お住まいの県の高等技術専門校ないしは職人、職業訓練校で検索してみてください。

そのような訓練校では、在来工法の基本中の基本である墨付け、手刻みの技術の継承を目的に日々訓練を実施しています。

これらの技術が住宅建築の世界からも消え去らないよう願うばかりです。

6.規格に縛られない自由な家「在来工法」の未来

注文住宅(在来工法)で「我が家らしい家を建てたい」とお考えの方に、少しだけ注意しておいて欲しいことがあります。それは、“ZEH問題”です。

ZEHとは、太陽光発電などを利用し、年間を通して消費エネルギーをほぼゼロにしようという家のことです。

確かに環境にはやさしい家といえるもので、国は2020年までにZEHを「標準」にしようと検討しています(ZEH普及に向けて~これからの施策展開~│経済産業省)。

ZEHの家は太陽光発電などの設備や高断熱・高気密が求められ、どうしても初期コストが高くなってしまいます。

そうなってしまえば、予算に応じた「老後に暮らす夫婦ふたりだけの家」、もしくは、誰にも継いでもらわなくてもいい「おひとり様の家」は建てづらくなる事が懸念されます。

「身の丈にあった心地よい小ぢんまりとした家」を希望されている方にとって、もしかしたら今が建て時かもしれません。

もしくは、伝統的な工法で本当に長く住める家を、と求める方も、思ったような家が建てられなくなってしまう可能性があります。

在来工法でどこまで自由な家にできるのか、ZEH制度や建築基準法の改訂などに目を光らせておいていただきたいと思います。

まとめ

家を建てたいと思う方にとって、「誰に、またはどの会社に頼もうか」「どの工法がよいのか」という悩みは尽きないものです。今回は在来工法の概要やメリットとデメリット、熊本地震から学べること、在来工法の今後などについて取り扱いました。是非ご記憶いただきたいことは以下の6点です。

  1. 在来工法とは、日本の伝統工法をもとにし今の建築基準法に合うようになったもの。木造軸組工法、在来木造、在来軸組工法とも呼ばれる
  2. 基本的な強度を柱・梁の接する「点」で確保するので、強度を「面」に頼るツーバイフォー工法や木質系プレハブでは実現しづらい「広い窓」が手に入る
  3. 在来工法なら自由な設計が可能。しかしながら、費用がアップしたり、工期が長くなることもひとつの側面
  4. 在来工法の家の強度を上げるために、様々な金物が用いられている。他に、筋交いや構造用合板、油圧式ダンパーなどを用いて耐震性・免震を向上させる
  5. 家づくりに欠かせないのは、土地の性質の理解・それにマッチした設計・職人の腕。どれかが欠ければ、どんな高価な家でもいざというとき残念な結果となる可能性も
  6. 夫婦ふたりの家・おひとりさまの家など、サイズも予算もミニマムな家が欲しい方は、今後の建築基準法改訂の動きに注意が必要

在来工法の家を検討されている方はこちらから相談されることをお勧めします。 

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