空間が激変するスキップフロアの家とは?知っておきたい3大ポイント
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設計者:横山浩介さん
限られた敷地、予算内でもデッドゾーンを減らしてプラスαの空間を作る、それがスキップフロアの家です。
いわば、スキップフロアの家は、バリアフリーと真逆の考え方ですね。
そんな、究極の空間活用で活動的なライフスタイルを送る事ができる人気のスキップフロアの家について、知っておくべき3つのポイントをまとめます。
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このページの目次
スキップフロアの家とは?
スキップフロアとは、フロアの高さを半階分ずらしながら連続する層を構成する建築方法です。
もう少しわかりやすくまとめると、中2階の空間を作り、フロアに段差をつける建築方法です。
この方法を用いて建てられた家をスキップフロアの家と呼んでいます。
スキップフロアは1カ所だけの場合もありますし、中2階、中3階、半地下など、何カ所も構成する場合もあります。
スキップフロアの家で得られる効果は?
スキップフロアは、フロアの高さを半階分ずらすことで高低差をつけられます。
つまり、目線にも高低差が生まれるので実際の床面積よりも広く感じる効果があります。
また、階段の昇降はあるものの、部屋同士や廊下などの仕切りとして壁を使用しないので、開放的な空間を演出でき、日常生活における動線も短縮する事ができます。
スキップフロアの家のメリット・デメリット
個性的で開放感あふれるスキップフロアの家ですが、やはりメリットばかりではありません。
ここではスキップフロアの家のメリットとデメリットをそれぞれまとめます。
スキップフロアの家のメリット
スキップフロアの家のメリットは5つあります。
- 1.家を広く見せることができる
フラットな家よりもフロア自体に高低差が出るため体感する気積量が増え、実際の面積よりも広く感じる事ができます。
狭小住宅を広く見せるのにも有効な手段です。
*気積量=床面積×高さのことで、一般的には「空間」を意味する
- 2.それぞれの空間を有効に活用し無駄をなくせる
段差ができることで、壁や扉をつけなくても「仕切り」が自然にでき、独立した空間にできます。
また、本来、狭小住宅によく用いられる建築手法で、廊下を作らずにすむので、デッドスペースを少なくし、その分、部屋や収納を多く取ることが出来ます。
- 3.風通しが良く日当りも良い
フロアの段差を利用して窓を設置するなどの工夫を行なえば、風通しが良く、日当りも良い家を作ることが出来ます。
- 4.天井を高くすることができる
天井を高くする設計手法と言えば、「吹き抜け」がありますね。吹き抜けの場合、確かにフロアから5〜6mほどの高さがあるので開放感は非常に感じられますが、空調が効きにくいというデメリットがあります。
しかし、スキップフロアにした場合、縦に短く段差をつけて空間を繋いでいくので、例えばスキップの高さを1mにすればフラットな家よりも天井を1m高くすることができます。
すなわち3m〜4mほど高くできるので、吹き抜けほどランニングコストがかからず、開放感も得ることができるのです。
- 5.家族の気配を感じることができる
開放感あふれるスキップフロアの家は、段差があることでそれぞれの部屋の目隠し効果を保っています。
ですから、それぞれの部屋のプライバシーはきちんと守られます。しかし、壁がないオープンな空間なので、家族の気配を常に感じることができます。
このように、スキップフロアの家は、収納スペースを多くとりたい場合、空間を広く見せたい場合、家族の気配を日常的に感じていたい場合などにおすすめです。
特に子育て中のご家庭には、スキップフロアの家は非常におすすめです。
家の中で子供がケガをする一番の原因は「階段」です。
スキップフロアの階段は、何カ所にも階段があるものの、それぞれの段数はフラットタイプの家よりも少ないため、万が一のことがあっても大事故に繋がりません。
フラットな家の場合、同じ部屋にいなければ子供の姿を把握することは難しいですよね。
しかし、スキップフロアの家なら子供の姿や気配を日常的に感じることが出来るというメリットがあります。
スキップフロアの家のデメリット
メリットの多いスキップフロアの家ですが、もちろんデメリットもいくつかあります。
- 1.建築コストが高い
空間を上手に活用し、収納を多く取れるので、同じ土地の広さの一般的な木造住宅よりも建築コストはかかります。
- 2.施工できる業者が限られる
スキップフロアの家は、一般的に施工が難しいとされています。
実績などをチェックして施工ができる業者をしっかり見極めましょう。
- 3.光熱費がかかる
開放感があるというメリットがそのまま、光熱費の負担増となります。
スキップフロアの家は、段差で繋がっている大きなワンルームのようなものですから、空調が効きにくいというデメリットがあります。
そのため光熱費などのランニングコストがかかります。
但し、設計時に、空調管理などを施工会社と相談し工夫することもできます。
- 4.エレベーターが設置しにくい
スキップフロアの家の場合は、壁が少ないため、ホームエレベーターの設置が難しくなります。
特に、家全体がスキップフロアで構成された間取りプランになると、エレベーターは設置が難しいのです。
エレベーターを設置する場合は、1階壁面を確保しておき、そこにエレベーターを設置する空間を作ることもできますので、間取りプランをよく検討しましょう。
- 5.遮音性は低い
壁がなく、大きなワンルームのようなものですから、やはり遮音性は低くなってしまいます。
どうしても気になる場合は遮音カーテンなどで対応しましょう。
- 6.バリアフリーと逆行した作りである
スキップフロアの家は、近年人気のバリアフリーの家とは真逆の作りです。
段差が何カ所もあるので高齢者の方と同居することが決まっている場合は注意が必要です。
施工会社と相談し、バリアフリーで生活できるフロアも作っておく等の工夫で対策しておくと良いでしょう。
スキップフロアの家で失敗しない!3つのポイント
ここまで、スキップフロアの家の特徴やメリットとデメリットをまとめてきました。
どんなタイプの家であってもメリットとデメリットはありますから、最終的には好みですよね。
では、空間を上手に活用できる魅力的なスキップフロアの家を建てたいと思ったら、ここから大切なポイントをご紹介します。
「失敗した!」と後悔しないために予め知っておくべき3つのポイントを挙げていきます。
1.スキップフロアには向き・不向きの土地がある?
スキップフロアは、もともと都心部などで敷地に余裕がない場合に空間を確保するためにできた狭小住宅向けの工法です。
また、隣接した住宅の位置や高さの問題で、日当りが悪そうな土地の場合にも段差を活用して光を取り入れられるスキップフロアの家が向いています。
また、もともと高低差があり、日当りや風通しに差が出やすい傾斜地に家を建てる場合、家の規模よりも耐火性を重視しなければいけない準防火地域・防火地域の制限がかかっている土地の場合には空間をうまく活用できるスキップフロアの家が向いています。
逆に平坦な土地の場合、敷地面積が広大な場合は、ランニングコストもかかり、遮音性の低いスキップフロアを無理に取り入れる必要はありません。
2.空間が広くなる=床面積が大きくなる!すると・・?
スキップフロアの家の最大のメリットは空間が広くなることです。
段差をつけてスペースを作り出すので、フラットな家よりも床面積が大きくなります。
そうすると、家の資産価値が上がり、一般的なフラットな工法で作られた家よりも固定資産税がアップしてしまいます。
このことを後から知ると、「失敗した!」と思ってしまいますね。
しかし、固定資産税が増えるといっても一般的な2階建ての家の場合と比較すれば1万円〜数万円です。
自分の好みで空間を活用した家を建てたと思えば、税金が少し高くなるからといってスキップフロアにして後悔はないはずです。
予め、固定資産税のことも頭に入れておきましょう。
3.業者選び!スキップフロアの家を作れる?作れない?
デメリットにも挙げましたが、スキップフロアの家は、木造住宅で施工するとなるとかなり困難ですので、中には避ける業者もいます。
ですから、まず施工会社選びで難航する可能性があるので注意したいですね。
また、実はスキップフロアの家は、段差を1.4m以下にすれば同一階と見なされるのですが、これを超えてしまうと2階建てのはずが3階建ての家だと新築後の家屋調査で判断されてしまう場合があります。
こうなると、固定資産税が上がる可能性もあります。
法規関連の知識がある施工会社であればミスはないのですが、2階建てのはずが3階建てとして処理されてしまったケースもいくつかありますから注意したいですね。
まとめ
もしも気に入った業者を見つけてもスキップフロアの家をたくさん建築した実績があるかどうか、そして建築基準法に詳しく、家屋調査でひっかからない家を作ることができるのかも必ず確認しておきましょう。
そのためには、建築のプロであり、法規関連にも精通している「建築士のいる設計事務所」を通すのが一番失敗しない方法です。
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