家を建てる前に知っておきたい知識

リフォームか、建て替えか…費用の比較と将来に備えるための重大4点

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住之江の元長屋改修 『大改造!!劇的ビフォーアフター』放映

設計者:守谷昌紀さん(※2012年7月8日『大改造!!劇的ビフォーアフター』放送作品)

一旦家を持ってしまうと、付きまとう悩みとなるのがメンテナンスと建て替えの時期ではないでしょうか。
メンテナンスで手当てできればよいですが、20年、30年となると、そろそろ「リフォームか、建て替えか」ということも考え始めなくてはなりません。

というのも、広く認識されていることの一つとして、「一般的な木造の住宅の寿命は約30年」であることが挙げられます。
また、2014年現在で築後30年を経過している家は、今現在の高い耐震基準を求められていなかった頃に建てられた家であることが想定され、安全な家のために積極的にこのリフォーム・建て替えについて考えなくてはならない時期に来ています。

もちろん、建てた当時に「とにかく頑丈な家を」ということに重きを置いて建てられたたものは耐震診断でも充分な数値をみるケースがありますので、「家によりけり」という部分はあります。
が、いわゆる「新建築基準法」は1981年に施行されていますので、この年より前か後か、というのが一つの判断基準になります。

 

では、実際に家の老朽化を感じ始め「リフォームか」「建て替えか」を考えた時に、どのような事を判断材料にすれば良いのかを考えてみましょう。

ここでは、ご家族4人住まいの建坪30坪、3LDKの一般的な木造住宅を想定し、リフォームにかかる費用と建て替えにかかる費用とを比較してみましょう。
もちろん、建材にこだわればこだわる程費用は大きくかけ離れてゆきますので、あくまでも目安としてご覧ください。
また、ここのところの建築需要の高まりから資材の価格も高騰、人件費も地域により開きがありますので、参考程度にご覧いただければ幸いです。

 

1.リフォーム

築30年あたりの家でしたら、まず耐震性と断熱性を改善したいとお考えになるでしょう。

まずは耐震リフォーム。
30坪の家を全体的に耐震補強しようとすると、約200万円あたりでしょうか。

そして断熱材を入れるリフォームです。
約500万円ほどかかるはずです。
壁の内部に断熱材を充填する方法でしたら、先の耐震リフォームと同時に行うことで、内装部分の内壁を一旦剥がすという作業が一度ですむことから、同時施工が理想的です。
再度内壁をリニューアルする必要が出てきますから、耐震・断熱リフォームだけで約1000万円程度はお考えになっておくと良いかもしれません。

さて、壁を実際に剥がしてみたら、思いのほか柱や梁が傷んでいたというケースも考えられます。
今回はこの金額は計上しません。
ほぼ手入れの不要な場合もあるからです。

あとは、水回りのリフォームです。
リフォーム専門会社では、システムキッチン・システムバス・シャワートイレ・洗面化粧台のリフォームセットを約200万円程度で提供している会社もあります。
規格(サイズ)がきちんと合うようならば、このようなセットを利用してもよいでしょう。

間取りは変えず、耐震・断熱リフォームと、水回りのリフォームで最低でも1200万円ほどはかかりそうですね。

その他に、壁を剥いでみたら柱が傷んでいたなどの場合は、その部分だけ新しい材を組み入れたりなどの作業が発生します。

 

2.建て替え

こだわり次第で幾らでも金額は跳ね上がりますから、ここではよくチラシに入っている工務店の平均的な価格で見積もってみようと思います。
2014年10月現在、建売住宅も扱う工務店で30坪3LDKを建てた場合、約1300万円程度のようです。

この新しい家のほかに、既存の家の解体工事が必要となります。
平均的な費用は130万円程度。
合計で1500万円程度は意識しておくと良いという計算となります。

ですが、全てが新しくできる(間取りも見直せる)ということから、多少高くても建て替えの方が若干メリットが多くなるかもしれません。

 

3.リフォーム・建て替えに共通の費用

このような大掛かりなリフォーム・建て替えに共通する費用があります。
これは、仮住まいの準備と、引っ越し往復の費用です。
準備する仮住まいは、リフォームや建て替えを請け負う業者が確保している場合もあれば、ご自分で探し、家賃を払わなくてはならないこともあります。
家賃が必要な場合は、期間を考えた時に、やはりリフォームの方が安くあがるでしょう。

引越しの往復(仮住まいへ・仮住まいから新しくなった家へ)は、荷物の量や仮住まいとの距離により異なります。
この点については、「家の建て替えと費用―引き渡しまでの7つの手順から熟考してみる」でも試算していますので、参考にしてください。

 

4.家に対するこだわりが「リフォームor建て替え」を左右する

建築資材の高騰や、エコ意識の高まり、良い物はできるだけ長く使いたいなどの「家を取り巻く環境」や「意識の変化」からリフォーム業界も活況を呈しています。

一方で、「金額が大幅に変わらないのであれば、思い切って建て替えてより安心を得たい」「間取りもきちんと見直したい」というお考えの方もいらっしゃいます。

どちらも正解、と言わざるをえませんね。

今現在の家が、しっかりとした建物であれば上記で挙げた金額よりも少なく済むかもしれませんし、エコの観点からも立派な選択と言えます。

お子さんが大きくなったために、一度間取りを見直してみたいということもあるかもしれません。
また、お施主さまの将来を見越して、バリアフリーの家にしておきたいというお考えがある場合は思い切って建て直しを選ぶべきでしょう。

「リフォームか、建て替えか」の分岐点は、「今あるその家に対する愛着やこだわり」「これからの家族の在り方」であるはずです。

 

どちらを選ぶにしても、先々の家族をイメージして

上記でざっと「リフォームVs.建て替え」の費用を出してみました。
驚くほどの差は見当たりませんでしたね。

ここでは築35年の家を想定しました。
今現在「リフォームか、建て替えか」でお悩みの方の世代は?
世代によっては、ここはひとつ思い切ってバリアフリーを意識した家への建て替えを検討しておくのもよいかもしれません。
いずれ手を入れなくてはならないことを、このリフォームか、建て替えかの分岐点で「織り込み済み」にしておくことは、後の暮らしの安心に繋がります。

大掛かりなリフォーム、建て替え共に、かなりの金額が動くのは間違いがありません。
リフォームローン、建て替え用ローンを組むことになるかもしれません。
支払っている期間中にも、残念なことに人は年齢を重ねます。
結果的に自分が住みづらい家にするために大きなお金を動かしてしまった―ではもったいないことこの上ありません。

補足的な情報として、耐震補強工事や一部バリアフリーにする工事には自治体などの補助金が出ることもあります。
また、耐震性やバリアフリー性が高い住宅の住宅ローンは、金利の優遇措置があったりもします。

ご家族4人住まいの建坪30坪、3LDKの一般的な木造住宅ならば、

  1. リフォーム
    1200万円ほど考えておくと無難。
    実際にリフォームにとりかかってみて、柱など大事な構造部分の腐食に気付くこともある。
  2. 建て替え
    既存の家の解体と、新しく建てる家とで、合計約1500万円程度。
    間取りなども見直せる良さがある。
  3. リフォーム・建て替えに共通の費用
    仮住まいの家賃と、引っ越し2回分を見込んで。
    仮住まいは、施工業者が用意しているケースもあるので、相談を。
  4. 家に対するこだわりが「リフォームor建て替え」を左右する
    リフォームでも建て替えでも、大きなお金が動く。
    今後の住まい手自身の変化を考えた上で、リフォームか建て替えかを検討。

リフォームか、建て替えか、どちらを選ぶにしてもやはり優先されるべきは「安全・安心」であることが一番です。
エコ意識とのバランスで、悔いのない選択をしてください。
リフォーム・リノベーションに長けた建築家であれば、的確な指摘をしてくれることでしょう。
まずは、「相談ありき」です。

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