狭小住宅の適正価格って?―価格を左右するのは、ズバリ「土地」
市街地中心部など、どうしても狭い土地しか用意できないときに工夫が必要な狭小住宅。
既に土地をお持ちであったり、住み続けていた土地での建て替えなどの時には郊外の土地に家を建てるケースより少しだけハードルが上がります。
そのポイントは、土地。
正確に言えば、「その土地の周辺環境」がとても重要な点です。
「狭小住宅は価格が高い」と言われるゆえんは、この周辺環境。
その、「狭小住宅の価格を上げてしまうかもしれないポイント」についていくつか挙げてみましょう。
狭小住宅のデメリット
1.隣の家や道路と近くなってしまう―「防音対策」
狭小住宅の一番の共通ポイントは、お隣の家や道路との距離が近いこと。
自分たち家族が知らず知らずのうちに出してしまう騒音もあるでしょうし、お隣の給湯器の燃焼音やエアコン室外機の音が気になることもあるでしょう。
そのため、防音や遮音に配慮しなくてはなりません。
防音のための壁材を充分に使用する必要があります。
外壁と内壁の間にグラスウールを入れるなどの措置をとりますが、建物表面に現れない部分であるだけに、「知らないうちに高くなった」というイメージを抱きやすい部分です。
ですが、ご近所との不要なトラブルなしにお互い気持ちよく暮らすためにはとても必要なもの。
無理に経費を削ってしまっては、後々使いにくい家になる可能性もあるでしょう。
2.車を入れるのなら注意―「道の幅(幅員)」
車を敷地内に入れようとしたときに単に車が入ればよいということではないことにお気づきでしょうか。
車を駐車しようとしたときに、道が狭いために取り回しが難しくなることはよくあるケース。
特に通勤時間帯に込む道であれば、なおさら大変なことでしょう。
何度も切り返さなくてはならないようならば、ご近所の迷惑にもつながる可能性も。
ビルトインガレージはどうでしょうか。
家の1階部分を広く開けなくてはならないために、どうしても強度が求められます。
ビルトインガレージにしたがために、2階にあるリビングの床が傾いているなどの報道を見たことがないでしょうか。
それを避けるため、鉄筋コンクリート住宅(RC造ともいう)などで充分な強度を求める場合があります。
敷地のぎりぎりに駐車するにしても、ビルトインガレージにするにしても、やはり近隣の環境に大きく影響されます。
土地の、道への付き方は不足がありませんか?
もしも不足の場合、敷地隅っこへの駐車ではなく、強度ある造りでビルトインガレージにする必要があります。
このために「狭小住宅は高い」といわれるのです。
3.工事に付帯する費用が上がる―「駐車場・資材置き場がない」
狭小な土地で共通して見られるのが、面する道が狭いことがあるとお話しました。
これによって、工事中の施工業者の車の駐車場がない、また資材を仮置きする場所がないなどの問題が発生しがちです。
これによって、近隣の別の場所を借りたり、資材を運ぶために何度も往復したりなどで、建物そのもの以外のコストが上がることが多々あります。
これらのコストを削るためには、短期間で完成する工法を選ぶ必要が出てくるでしょう。
ご近所へのご迷惑を最小限にとどめるためにも、この工期についてはしっかり考えてください。
4.広さを求めるには―「高さ」を稼ぐしかない
土地が狭い分、建物としては「高く伸びる」ことで居住空間を確保する方向へ。
そのため、地下室を備えた3階建ても狭小住宅では珍しいものではありません。
もちろん、建物自体の自重が高さの分増えますから、構造は鉄筋コンクリート造(RC造ともいう)や、鉄骨造(S造ともいう)を選ばざるを得ないケースも珍しくありません。
木造よりもイニシャルコストがどうしても上がってしまうこれらの造り。
近年では、狭小住宅向けにローコストの工夫を凝らした鉄筋コンクリート造・鉄骨造の家も増えてきました。
「鉄筋コンクリート造・鉄骨造は高い」と決めつけず、検討する意味は充分あります。
狭小住宅のメリット
1.ランニングコストが安く―「固定資産税や都市計画税」がかなり安いケースも
特に都市部でこのメリットが表れます。
土地に係る税金ですから、単純に言ってしまえば狭ければ狭いほど安いのです。
ローンを組まずに家を買う方は少数派かもしれません。
それゆえ、各種の税金が安いのはありがたい話です。
2.木造以外も積極的に検討―法定耐用年数で割るとRC造・S造も安くつく
「耐用年数」―ビルやマンションなど営業的に使用される建物でしたらイメージしやすいのですが、減価償却をしていく期間ですね。
固定資産税を求める基礎となるのがこの「法定耐用年数」。
「法定耐用年数」は造りや事業用か・一般住宅用かによって決められており、一般住宅で木造は33年、鉄骨造は~51年、鉄筋コンクリート造は70年です。
つまり、建物自体の耐久年数が長いとされているのが鉄骨造や鉄筋コンクリート造。
つまり、ある程度の強度が税制面でも認められているのです。
平均的な狭小住宅木造が坪単価50万円~とするなら、鉄骨造は70万円~、鉄筋コンクリート造は80万円~といったところですが、これらをその「耐用年数」で割れば、意外なことに木造以外のものもそう高くはないことがわかります。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造は、土地が安くすむかもしれない狭小住宅だからこそ考えたい造りかもしれません。
これは、建物部分の税金に関わる金額でもありますが、売却時にも参考にされるものです。
中古の住宅を買おうとする場合でも、やはり「まだまだ現役」という家が欲しいものです。
中古物件に「築年数」と「構造種別」が書いてあるのはこのため。
もちろん、こまめにメンテナンスしてある家の方が価値があるのは当たり前のことです。
■まとめ
狭小住宅には、コスト面のデメリット・メリットがあることがわかりました。
狭いからこそのデメリットには
- ご近所との音による関わりが避けて通れないため、防音対策にコストがかかる
- 駐車場を敷地内に確保するために、鉄骨造り・鉄筋コンクリート造にする必要があるかも
- 工事の車両が入りにくい・止めておけないなどの理由から、作業費用のコストアップの可能性
- 家の延べ床面積が譲れないのなら、鉄骨造や鉄筋コンクリート造で強度を持たせる必要も
狭いからこそのメリットには
- 「固定資産税や都市計画税」などが格安のケースも。
- (法上での)建物の価値を左右する「法定耐用年数」を考えるとRC造・S造も安くつくことも
があります。
どんなものにも、「デメリット」「メリット」があるもの。
狭い土地であろうが、駅や学校が近いなど生活上の利便性が高いのであれば臆することなくトライして頂きたいと思います。
狭小住宅こそ腕の振るい甲斐があるとして、積極的に取り組んでくれる建築家も多くいます。
車が必須の生活条件であれば、土地探しから一緒に関わってくれる建築家を探しましょう。
家を建てたはいいが、車が入れづらいなどの問題が起きては大変です。
更に、暮らし方自体を犠牲にするようなプランニングでは住み続けること自体が困難になるケースも。
家庭内のトラブルが起きた時「あちらの部屋に逃げればよい」ということも狭小住宅ではなかなかむずかしいものでしょう。
家庭内の話も心置きなくできる、充分に受け止めてくれる建築家との出会いがとても大事です。
狭小住宅に積極的に取り組んでくれる、人としての相性のよい建築家をまず探すこと。
これが「快適な一軒」をつくる最初の一歩です。
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