蹴上とは
階段の昇降のしやすさを決めるもののひとつに、階段一段の高さが大きく関わっていることはお分かりの通りです。この階段一段の高さを「蹴上(けあげ)」と呼びます。建築基準法では23センチメートル以下と決まっています。多く採用されるのは、18~20センチメートルです。
蹴上高は、概ね「階高と距離と段数」で決まる
古い日本家屋ではとても急な階段に遭遇することがあります。あの急な階段は、蹴上高も高めで、足を実際に乗せる面も浅く、昇降しづらいものです。構造的に1間(いっけん・おおよそ1820ミリメートル)に収められることが多かったため、この急な階段となっているのです。
この例を頭の隅に入れておくと、階段を検討する際に必要な数値が「階高・距離・段数」であるということがわかります。階段に使えるスペースが長くなり、段数が増えれば、蹴上高を抑えることができる、ということなのです。
蹴上高が重要なワケ
蹴上高が低ければそれだけ楽なのではないか、と思う方もいらっしゃるでしょう。ですが、その答えは「No」です。
人間というもの、日頃の生活の中で慣れている高さというものがあります。例えば駅の階段においての蹴上高は平均16.5センチメートルとされています。一般住宅で多く採用される蹴上高は18~20センチメートルです。多くの方が、この範囲内で「階段の一段の高さ」を体で覚えているということなのです。
階段をできるだけラクにしたいとの考えで、建物内で階段に使用するスペースを多く取ったとしても、蹴上高をあまりに低くしてしまうと足元に不安を覚えます。日頃の経験から外れてしまうからです。更に、1階から2階へ上がるための段数が増えてしまい、むしろ辛く感じることもあるでしょう。
理想的な階段は、階段に使えるスペースと使い方とで決める
階段の傾斜が、安全面で重要なカギを握っていることは、先の古民家の階段の例でもお話した通りです。これは階段に割けるスペースがどれだけあるかということが大きなポイントでした。
安全性を重視したいけれどもスペースがない、蹴上高を適度に保ちたいけれどそれを実現する広さが確保できない、という場合は、階段そのものの形状を検討する必要があります。例えば踊り場のある「折り返し階段」ならばスペースもさほど必要とせず、途中で一段落できる場所を設けることができます。斜めの踏板が気にならないのであれば、螺旋階段でスペースを節約するという方法もあるかもしれません。蹴上高もある程度自由に決められるでしょう。
いずれにせよ、その階段を使う方の状況や、どんなものを持ち運びするかによって決定しなければなりません。階段で往来するのは人だけでなく、家具などのモノも考えられるからです。
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