家を建てる前に知っておきたい知識

海の見える家で「大失敗」しない為に知っておくべき6点

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設計者:遠藤 浩さん

海の見える家って、とても素敵ですね。

建て方によっては、まるで自分の部屋でその海を独り占めしているような「借景」を楽しむことができます。
更に朝焼け、ないしは夕焼けを家の窓で楽しめる家でしたら、この上ない贅沢かもしれません。

さて、この「海の見える家」はその景観から魅力的である一方で、気を付けなければならないことも多くあります。

今回はこのデメリットについて考えてみましょう。

 

1.塩害

塩害という言葉をご存知でしょうか。
文字通り、塩分による腐食を指します。
特に金属に顕著に表れ、サビの発生が早いのが、この海の見える家では避けて通れない現象です。
家だけでなく、自動車や自転車などの傷みも早くに表れます。
このような事から、木造であれ、鉄筋コンクリートであれ、家全体を定期的にメンテナンスする必要が生じます。
塗膜材など、塩気そのものから家を守る手当てがとても重要なこととなるのです。

また、暴風雨の際には、窓ガラスにも塩が残ってしまうことも考えられます。
お天気が荒れた後には、こまめな拭き掃除も必要なのです。

家や自動車・自転車のケアのために、敷地の数か所に水道を使える設備が必要になるかもしれません。
こまめに塩分を洗い流すことで、これらの腐食の発生を遅らせるケアが求められるのです。

 

2.洗濯物・植物への配慮

ベランダなどに洗濯物を干しても、からっと乾かないのが海のそばにある家の特徴です。
これもまた、風に含まれる塩分の仕業。
このため、サンルームなど室内干しができるような仕組みを考えた方が安心です。
太陽光を取り入れながらも、外気との接点をできるだけ減らす。
これが、洗濯物を爽やかにさらっと乾かすのに大切な事なのです。

例えば敷地の問題でサンルームなどを設けられない場合、乾燥機能付きの洗濯機を使うなどの方法でしのぐ必要もあるでしょう。

また、植物がお好きな方にも、このサンルームなどの機能は大事です。
ほとんどの植物は、塩にとても弱いものです。
お祝いに鉢植えを頂いた、どうしても育てたい花があるなどの場合、日当たりを確保しながらこの塩分の影響を受けない場所を設けなくてはなりません。

 

3.湿気対策

それでなくとも高温多湿な日本の夏。
更に海沿いともなると、その湿気たるや大変なものです。
木造であれ、コンクリート系の建物であれ、通風や換気の対策をしっかりと施しましょう。

特に近年の家は高断熱・高気密であることから、24時間換気は普通のことです。
海の見える家であれば、窓を開けたくない日も多くなることは既におわかりのことですから、この通風や換気は市街地の家よりもしっかりと考えなければならないポイントなのです。

特にコンクリート系の家を建てる場合、建築後2~3年をかけて完全に水分が抜けます。
このことを考えると、機械的に強制的な換気を行わなければなりません。

塩害以前に、湿気による結露・カビなどの問題に見舞われるのです。

試しに、ネットで沖縄の人の暮らしぶりを調べてみてはいかがでしょうか。
(築数十年という古くからの建て方の家は別として)概ね窓は開けずにエアコンを入れっぱなし、という記述があるはずです。

海からの湿気・塩分により、フローリングがべたべたしているというのが、これらの記述の主な理由です。

 

4.どこに建てるか

3・11(東日本大震災)の際の写真や動画を未だ記憶しておられる方もおられるはずです。
このことから、海沿いの家は土地選びからしっかりと行う必要があります。

海が見える家はステキですが、標高はきちんと確認しましょう。

自治体では、防災マップなどの形で想定される津波の高さが公表されています。
それらを参考にし、津波のリスクを避けながらも海の見える土地が見つかれば安心です。

次に検討しなければならないのが、土地そのものの強さです。
土質や地盤の問題です。
埋め立てや旧河道、盛土した宅地造成地では液状化の問題も深刻です。

このため、海という水の影響を受けやすい、海沿いの土地では地盤改良が必要なケースも少なくありません。

海の見える高台、特に硬い地盤のある土地でしたらこれらの問題も比較的心配がないでしょう。
お散歩エリア(近隣)に海があることが希望なのか、家から海が見えればよいのか、このあたりの判断をこれらのリスクと考え合わせる必要があります。

家を建てる前に、きちんとした調査や手当をすることが、家族を守る家を建てる際の「基本のキ」です。

 

5.風に対する備え

海のそばのエリアは、風の影響を受けやすい場所であることはご存知の通りです。

更に台風などが近づくと、それはもう「影響」と呼べるものではなく、「恐怖」にすり替わってしまいます。
せっかく海の見える家を建てるのだから、窓も大きくとって眺めを楽しみたい―そのようなご希望もあるはずです。

この、広い窓が、強風の際には恐怖のモトとなってしまうのです。

防犯を兼ねた強化ガラスにする、雨戸やシャッターを設けるなどの対策が必須事項です。

台風の時だけでなく、常に風を感じるのが海沿いの家。
つまり、砂埃に悩まされてしまうことも日常茶飯事です。
お天気のいい日は窓を開けたいのは人情ですが、お掃除がとても大変であることは覚悟する必要がありそうです。
主婦としては、入り組んでいない、お掃除のしやすい間取りを希望したくなるかもしれませんね。

また、傷のつきにくい床材も慎重に選びたくなるところでしょう。

 

6.こまめな手入れを覚悟

「海の見える家」を手に入れたいと考えた瞬間から、「市街地の家では考えられないほどのこまめな手入れが必要」と覚悟を決めた方がよさそうです。

海風は殊の外家そのものに与える影響(塩害)が大きいことから、塩分を洗い流す「洗家」という作業を行わなくてはなりません。
洗濯物を外に干しづらい(からっと乾かない)ことから、サンルームの検討も必要でした。

また、砂が風に乗って家の内部に入り込みやすいということもあり、お掃除の頻度も上がる事でしょう。

また、地盤の問題や「木造か、コンクリート系か」といった家そのものの建て方も慎重に検討すべきポイントです。

これらは、その土地の状況を知り尽くした建築家の力を大いに発揮してもらわなくてはならない問題です。
家の素顔ともいえる「土地」、そして家族の入れ物である「家」―。
専門家ならではの知恵と工夫を凝らしてくれることでしょう。
そのエリアごとの特徴が顕著に表れる海沿いの家。
地場に密着した建築家を見つけることも、家づくりの大切な第一歩です。

まず、希望するエリアと思い描く家のイメージを伝えてください。
そして、その家ではどういったことが問題になりそうか、充分に相談をしてください。
それらのトラブルに耐える家を建てるにはどれだけの費用がかかりそうか、また暮らす上でのメンテナンスの手間についてもきちんと解説してもらいましょう。

希望する「海の見える家」>費用(建築費用+メンテナンス費用)+日頃の手入れ

であれば、その、希望するエリアでの建築は「Go!」です。

もしも、手間やメンテナンス費用で何らかの引っかかる点がみつかれば、エリアの変更や建て方の根本的な見直しが必要となります。
せっかく、夢の海の見える家です。

自然と寄り添って暮らすことのメリット・デメリットをきちんと理解し、納得した上で安心の暮らしを手に入れたいものですね。

 

パートナー探しがカギを握る

大事な事ですので、もう一度…。
土地には、その土地なりの気候という「クセ」があります。

特に海の周囲はその影響がはっきりと表れます。
そのこともきちんと考えてくれる、地元密着の建築家を探しましょう。

そして、デメリットまできちんと説明してくれる人を頼りましょう。
そうすることで、「こんなはずじゃなかったのに」という大きな後悔をさけることができるのです。

あういえをの登録建築家のなかから、まず、ご希望のエリアに多く作品を持つ建築家を探してください。
安心の家づくりの一歩に役立てて頂けたら幸いです。

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