注文住宅の見積もりを取るのは、建築家など専門家の仕事です。「このような仕様で家を建てますが、工事を請け負ってもらうとしたらいくらですか?」と複数の建築業者に見積もり依頼をするのが通常です。ですが、施主であるあなたも、内訳は理解しておいた方がよりスムーズに事が運びます。
今回は、見積もりを取る前に知っておきたい「予備知識」をお伝えします。
ここで本文に入る前に、マイホーム作りで最も重要なことをお伝えしておきましょう。
それは、“家づくりのパートナーとなる住宅メーカー選び”です。
多くの人が資金計画や土地の購入、間取りやデザイン設計を先に始めてしまいます。そして重要なハウスメーカに関しては、知名度で選んだり、住宅展示場で即契約してしまったり・・・。
しかしこれ、実は大きな間違いです。
住宅メーカー選びを怠ると、最終段階になって予算を大幅にオーバーしたり、理想の間取りができなくなったりと、一生に一度のマイホームが後悔に染まってしまいます。
結果として大きな損をしてしまうということに。
つまり、住宅メーカー選びがあなたのマイホーム作りの鍵を握っているのです。
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それでは本文に入っていきましょう。
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1.建築工事には、多くの専門業者が関わる
注文住宅をはじめとした建築工事には、幾つもの専門業者が関わります。例えば、
仮設
建築工事には欠かせないものではありますが、家が建ってしまえば不要になるもの。
足場、仮設トイレ、シートなど。
基礎工事
家の土台である基礎は、きちんとしたものを作ってほしいものです。
地震に耐えるだけの鉄筋の数、コンクリートの質など、あまりコストダウンしたくないところです。
木工事
大工さんの賃金や、大工さんが木材を購入する際の金額を含んだものです。
構造材、運搬費、構造金物、接着剤、石膏ボードなど必要な部材費用に、手間賃が加算されます。
内装工事
内装一般にかかる費用です。
クロスやふすま、ドア、畳、天井仕上げ、フローリング貼りなど、日頃私たちが家という空間で直接目にする部分にかかる部材の仕入れに、内装工事業者へ支払う賃金が加算されたものです。
電気工事
電線の取り回しや、家の内部・外部に電気設備を設置する際に必要な費用です。
配線、照明、換気扇類、クーラーなどの仕入れに、工事費が加算されています。
給排水衛生設備工事
水道や下水道など、生活に必要な水関連の設備の工事です。
配管、器具の取付けがこれに含まれます。
その他には、
- 屋根工事
- 防水工事
- 左官工事
- 住設工事
などが加わります。「餅は餅屋」といいますが、これらの工事もまた、それぞれに「大工さん」「電気屋さん」「内装屋さん」「屋根屋さん」「左官さん」「サッシ屋さん」といった専門業者が請け負う事となります。
このように、段階を追った作業内容を理解しておけば、見積書を目にした時に混乱することもないはずです。
2.「見積書には、決まったルールはない」―ココが問題
見積書には、それぞれの会社なりのルールがあります。すべての会社で統一されていないことにより混乱を招くことがあります。
図面といっても数種類あり、部材の種類や数量までを指定しているのは「建築施工図」と呼ばれます。この建築施工図にのっとって、必要な資材の金額に人件費を上乗せしたものが各専門業者から出され、施工を行う主体の建築業者が取りまとめたものが見積書、という訳なのです。
もう一度整理すると、
- 設計担当者(建築家や建築士)自身が、信頼のおける建築業者複数に見積もり依頼をする
- 各建築業者は、専門業者に見積もりを依頼する
- 専門業者から取った見積もりに、建築業者作業分を追加し、建築家へ提出
- 建築家はその見積もりをチェックし、部材が適切に反映されたものであるかどうかを調べる
- 建築家が一番妥当だと思える業者を選出、施主と建築業者が契約を結ぶ
―という流れです。
余談ですが、今現在設計にはCAD(設計用ソフト)を用いますが、そのデータを提供しても、手書きの見積書を出してくる建築業者も中にはあるようです。CADデータをそのまま使用すれば、「部材拾い」(部材の種類・数量をデータとして集めること)もできますが、それに対応していない建築業者もあるということなのです。これがそのまま「建築面で実力のない業者」ではないということが建築家を悩ませる部分でもあるのです。
3.「材工共」という単語に注意
専門業者が各工程で活躍してくれることは上にも挙げましたが、中には専門業者同士が“切っても切り離せない”関係であるケースが存在します。モルタル部分の下地は左官工事、上にかける塗装は塗装工事、という場合がこれに当てはまります。こういった場合は、都合上まとめられてしまうことがあります。
さらに、「材工共(ざいこうとも)」という単語が見積書にあった時は注意が必要です。これは、材料費+工賃を指し、部材数量と工賃がまとまって上がってきている状態です。このように、解りづらい部分があれば、見積書を取った会社にわかるまで説明を求めるのがベストです。
4.自分の親戚・知り合いなど、特定の業者に見積書を取ることはできるのか
結論から言えば「可能」です。ですが、設計を依頼した建築家との阿吽の呼吸で仕事を進められるかはまた別の問題です。特に、自社の仕様でしか家を建てた経験のない会社であれば、作業が行き詰ってしまうことも考えられ、その仕事自体を断る可能性があります。もし請けてくれたとしても、仕事の手戻り分を考え、金額が高めの見積もりが出てくるはずです。
そのあたりも加味し、「それでもこの会社に建ててもらいたい」と考えるのであれば、建築家にその旨伝えてみましょう。信頼関係ができていない状況であってもその家を建てるまでの時間的な余裕があればその希望を受け止めてくれるかもしれません。
スケジュール面でタイトである、もしくは特別な工夫や仕様のために息の合った仕事が求められる場合は断られてしまうでしょう。どうしても希望する建築業者があるのならば、具体的な打合せに入る前にその希望を伝えておくべきです。
5.「監理」も建築家の仕事
建築家の仕事は、設計だけではありません。建築業者から上がってきた相見積もりのチェックをはじめ、設計図通りに家の工事が進んでいるか、指定以外の部材が使用されていないかを見守る「監理」も行うのが通常です。このため、施主自身で見積書を取ったり、チェックしたりする必要はほとんどありません。
ですが、やはり家は予算あって初めて建築に着手できるものです。見積書に書かれている内容の意味だけでも理解できるようになっておけば、建築家と共に同じ方向を向いた家づくりができるのです。難しい言葉が出てくれば、建築家に質問をすれば大丈夫です。きちんと理解できるまで説明してくれます。
6.適切な見積もりは、適切な建築施工図から―施主が心掛けるべきこと
建築施工図があって成立するのが見積もりです。これを意識すれば、建築家が建築施工図に取り掛かる前には全ての事が決まっていなければならないことは明白です。壁紙一枚に至っても、です。このため、施主が心掛けなくてはならないのが、打合せの初期段階で、建築家と共に作りたい家のイメージを完全に擦り合わせておくということです。
いつまでも「あのバスタブの方がいいのではないか」「ドアの色合いはこちらの方がいいのではないか」と右往左往してしまえば、建築施工図は仕上がりません。このような迷いを避けるため、建てたい家をイメージできる写真を撮りためておいたり、家に関する雑誌の切り抜きを用意しておいたりして、建築家にきちんと示せるようにしておきましょう。
おわりに
家を一軒建てるまでに、多くの人たちが知恵を絞り、汗を流してくれることは既にご存知のはずです。その一連の作業の上流に位置する施主であるあなたが行うべきことは、家に対する希望をしっかりと自分で把握しておくことです。
見積もりは、建築家が取ってくれますからあまり悩まなくても大丈夫です。もしもどうしても依頼したい建築業者があるのならば、設計を依頼する建築家と仕事をしたことがあるか、もしくは一緒に仕事をしてみたいという希望を持っているかを聞き出しておくとよいでしょう。その上で、見積もりを取る会社に加えてもらえばよいのです。
良い家を作るには、施主であるあなたが決めなければならないことが多くあります。まずは、安心してお願いできる建築家探しから。是非あういえを登録建築家の作品集から、あなた好みの作品を見つけてください。「住宅お悩み相談」や「メッセージ送信機能」を使って相談をしてみてください。
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