家を建てる前に知っておきたい知識

「明るい家」を死守するために―土地探しから設計まで6つのポイント

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設計者:横山浩介さん

駅から近い、買い物など生活の面で便利そうだという利便性で土地を選ぶ方も多いと思います。
周辺の雰囲気が気に入った、という土地の選び方もあるでしょう。

あなたがその土地に新しく家を建てるように、後日他の人がその周囲に建物を建てることは充分に考えられることです。
環境は日々変化するのです。

今現在は「明るい家になりそう」という予測を持って土地を購入したとしても、数年後にマンションが目の前に…というケースもあり得ます。

そのようなトラブルを避けるために、事前に気を付けておくことはできるのでしょうか。

今回は「明るい家」を実現するために、いくつかの面から「土地」「家」を考えてみたいと思います。

 

1.その土地の周囲に「駐車場」「畑」があると要注意

明るい土地=明るい家というのは、周囲に建物が見当たらない、もしくは建ってはいてもさほど建て込んでいない状況だと思います。

将来、もしも高いビルやマンションが立ってしまったら…。
見通しも悪く、暗い家になってしまう可能性が否定できません。

注意するべきは、その、気に入った土地の周囲に「駐車場や畑がないか」という点です。
駐車場などがあった場合、収益性を上げるためにその土地の所有者が「マンションを建てよう」と思い至ることも充分に考えられます。
もしも駐車場があるとしたなら、その気に入った土地の南側でないことを確認しましょう。

南側といえば、当然日当たりに直接関係する方角です。
その南側をふさがれてしまえば、暗く、残念な家になってしまうこととなるでしょう。

もちろんこれは、道を挟んだ向かいの土地であっても影響はあります。
6メートルの幅の道路の向こうに15メートルのマンションが建つとして、1階が日陰になる時間の目安は2~3時間といったところです。
(もちろん土地の条件によりばらつきはありますので、参考までに)

道路の向こう側に建つマンションであってもこのような影響がでるのですから、隣接地に建つマンションの影響がどれほどのものかわかって頂けるでしょう。

将来、何かが立つ可能性がある土地―駐車場や畑が目の前にあるかどうか、その方角が南側でないかをきちんと確認しておきたいところです。

 

2.旗竿狭小地である場合も慎重に

比較的土地の価格が安いために人気のある旗竿狭小地

今現在建物が周囲になく、見通しがいいからといって、安心してはいけません。
近い将来、あなたの家を取り囲むように家が建つことは既に解っている通りです。
その土地に対して家をどう配置するかで回避できる問題はあります。

家全体にさんさんと陽が差すことは難しくとも、せめてリビングだけは家が建て込んできた時に影響を受けない位置に置くなど、設計である程度問題回避できることがあります。

ですが、これも目の前に建つのがマンションでないことがはっきりしていることが前提です。
目の前の土地の使用目的が一般戸建て住宅用として分譲されていることを確認しておきたいところです。

 

3.「用途地域」の確認

「用途地域」とは、都市計画法により定められるものです。

その地域の性質をきちんと分けることで、「工業地帯に家」といった明らかな不都合を避けるために定められています。
その土地に高い建物を建てる事が許可されるかどうかは、この「用途地域」を確認することで想定できます。

「第一種低層住居専用地域」「第二種低層住居専用地域」まででしたら、大きな問題には発展しないはずです。

  • 第一種低層住居専用地域は、2階建て程度の戸建て住宅やアパート主体の住宅地です。
  • 第二種低層住居専用地域は、先の第一種低層住居専用地域に小規模な店舗が加わる程度です。
  • 第一種中高層住居専用地域を越えると、3階建て以上の建物が許可されますから、日当たりが悪い家になる可能性があります。

これについては、不動産仲介業者も把握していますから、現地を見に行くときにきちんと聞いておく必要があります。
また、その土地だけでなく、近隣の状況を知りたいときには、自治体の「建築指導課(自治体により名称の違いあり)」などで聞けば教えてくれます。
通りをひとつ越えるだけで、この用途地域が異なる事もあります。
目の前の道路の向こうに、高いマンションが建ってしまうこともない訳ではありません。

 

4.【設計で解決】2階リビング

明るさを求める部屋としてトップにあがるのが「リビング」ですね。

先々周囲に建物が建ち始めることを見越して、初めからリビングを2階に配置するという方法を採用される方もいらっしゃいます。
個々の部屋は主に寝室であったりと、むしろ夜間しか使わないので日当たりはあまり求めないというケースがほとんどです。

このため、通常の戸建て住宅とは異なり、1階と2階の役割を入れ替えてしまうという設計方法で将来に備えることができます。

 

5.【設計で解決】吹き抜け

2階の高い位置から差し込む光を利用する吹き抜けも人気です。

そもそもは解放感を演出するために広まってきた手法ですが、明るさを確保するためにも有効に働きます。
敷地がある程度確保でき、リビングとその2階部分を居室として使用しなくて済むのであれば、この吹き抜けは今現在主力となる「明るさ確保」の方法でしょう。

ガラス面を広くする必要がありますので、強度やメンテナンスの面で配慮するべき点は多くはなりますが、1階と2階を完全に天井で区切ってしまうよりはるかに明るい家となります。

 

6.【設計で解決】2階や北側の部屋には天窓を

屋根部分に取り付ける天窓(トップライト)で、明るさを確保することも可能です。

直射日光でなくとも、空に向かって開けた部分があれば、それだけでも明るさは大きく違ってきます。
外観のアクセントにもなりますから、オシャレな家にもなり得ます。

例えば、中古の家を購入した後、周囲に高い建物が建ってしまった、という場合は「太陽光照明システム」という後付けできる商品もあります。
屋根に円形ドームを取り付け、そこからアルミチューブを目的の部屋まで伸ばします。
円形ドームから取り入れた太陽光をアルミチューブの中で反射させながら、各部屋まで明るさを「配達」するのです。

 

「明るい家」は土地選びから

気に入った土地が見つかった、とすぐに飛びついてはならない理由がありました。
「明るい家」を実現するためには、家を建てた後の周辺環境の変化を考えておかなければなりませんでした。

  1. その土地の周囲に「駐車場」「畑」があると要注意
    土地の所有者が収益を上げたいためにマンションなどを建設する可能性も。
  2. 旗竿狭小地である場合も慎重に
    目の前の土地の使用目的が一般戸建て住宅として分譲されていれば、大トラブルは避けられるかも。
  3. 「用途地域」の確認
    第一種低層住居専用地域・第二種低層住居専用地域であれば、周囲に建つ建物は二階建て程度まで。
    道を挟んだ目の前の土地がこれ以外の場合、高い建物が建ってしまうかもしれない。
  4. 【設計で解決】2階リビング
    周囲に建物が建ちそうならば、最初からリビングを2階にという建て方で対処。
  5. 【設計で解決】吹き抜け
    一部分でも、1階・2階の区別をなくしておくことで、リビングの明るさを確保できる。
  6. 【設計で解決】2階や北側の部屋には天窓を
    暗くなりそうな場所には天窓(トップライト)を付けることも検討を。
    後付可能な「太陽光照明システム」を設置することで暗さの問題の解消ができる。

土地選びと同時に、設計の仕方一つで明るい家を実現できます。
日照は、人に与えられた権利の一つ。
日照のシミュレーションソフトもあり、建築家はそれを使用し、入念な設計をしてくれます。

もちろん、現地を一緒に見に行ってもらうことも大事な事。
「この人にお願いをしたい」という建築家を見つけ、土地探しの段階から相談に乗ってもらえればベストです。

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