家を建てる前に知っておきたい知識

土間のある家で比較検討しておくべき「メリット・デメリット」6点

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土間のある家

設計者:水谷嘉信さん

土間、というと皆さんはどんなイメージを抱かれるでしょうか。
「お盆やお正月に帰省していた田舎の家」を想像される方も少なくはないでしょう。
何となく、古臭い印象をお持ちではないですか?

実はこの土間のある家、最近では見直されてきています。

まず、土間とは何かをおさらいしましょう。
ごくごく一般的な家を思い出してみると、玄関部分は地面に近い高さではないでしょうか。
これも土間の一形態です。
つまり、屋内にあり、床の高さより低く、より地面に近いものが「土間」。
三和土(漆喰を塗ったもの)やコンクリート、タイルで仕上げます。

では、ここの所見直されている土間のある家のメリット・デメリットを考えてみましょう。
以下に挙げるメリット・デメリットは、その土間を家のどの位置に持ってくるかで大きく変わりますので、代表的なもののみピックアップしておきます。

 

【メリット1】屋内にありながらも、庭とのつながりを大きくできる

バイクや自転車、家庭菜園、ガーデニングなど、土と切っても切れない縁のご趣味がある方にはもってこいの土間。
なぜなら、外部から土を持って入ってもそう気にならないエリアを作れるからです。
風雨に晒したくないバイクや自転車ですが、土間のない通常の家でしたら、庭で雨ざらしになったりするところ、屋内にそのまま入れることができるのはメリットではないでしょうか。

また、家庭菜園で採れた野菜を一旦取り込んでおくことや、台風などの際にガーデニングの鉢物を一時退避させるにも、この土間はとても便利です。
汚れもさほど気にならないこと、移動が水平であることがこの便利さに繋がります。

 

【メリット2】ちょっとしたお客様とのコミュニケーションにも

ご近所さんが回覧板を持って来た、ちょっと遊びに来たときに「わざわざ上がってもらう程の事でもない」というシーンも生活の中にはあります。
こういった時、土間があれば、靴を履いたまま床部分に腰掛けてもらえばあとはお茶をお出しするだけ…という使い方ができます。
日本古来の家でしたら、縁側がこの役割を果たしていました。
ですが、土間でしたら奥内です。
天候を気にせず済むことも便利な点かもしれません。

 

【メリット3】リビングの一部分を土間にすると汚れが気にならない

リビングの一部分を低くし、水に強い材で土間を作ると、主婦にとってメリットが大きくなります。
一般のキッチンは、床部分がクッションフロアであったり、フローリングであったりしますが、ここに飛んだ油汚れに悩まされることはないでしょうか。
お掃除用ウエットシートでは洗浄力が心もとないですし、少なくとも1年に1度はワックスがけなどの大変な作業が発生します。
土間にキッチンを置き、水や洗剤での洗い流しが可能な材を使用しておけば、油汚れもこまめにデッキブラシで洗い流すことができます。
水でじゃぶじゃぶと洗い流せるのは、さっぱりとして気持ちのいいものでしょう。

1段・2段と上がり、食事をダイニングテーブルに運ぶのが面倒でしたら、この土間部分にダイニングテーブルを置いてしまいましょう。
そうすることで、配膳も水平移動で済みます。
お子さんの食べこぼしが床に落ちても、拭くか、洗い流すことができます。

 

【メリット4】お勝手とキッチンとのそばに広く土間を取ればパントリー代わりに

お勝手口そばに、先の土間キッチンとパントリーエリアを設けることができれば、更に利便性が増します。
週末に大量に買い物をしてきたときも、このお勝手口から水平移動でパントリーに持ち込むことができます。
重い荷物を持って、通常の戸建てにあるキッチン位置にまで持って上がるのはとても面倒なのはご経験済みでしょう。
この水平移動での運搬ならラクですね。
特に食べ盛りのお子さまがおられるご家庭ならば、大量の荷物からくるその苦労は大変なものとなります。
お勝手口からパントリーへ水平移動できれば、便利な事この上なし、でしょう。

更に、分別ごみの仮置き場にもできます。
庭にごみを仮置きするのは美観の面でもよくありませんし、犬や猫、更には人のいたずらにあうことを考えるとあまり望ましくありません。
家の中の、更に汚れが気にならないエリアにごみを仮置きできれば、美観の面でも安心の面でも有利です。
もしもゴミが汚水を出してしまえば、それこそざっと洗い流せばよいのですから、キッチンを預かる主婦(主夫)としては安心。
常にきれいなキッチン周りを実現することが可能です。

 

【デメリット1】冬場の底冷えが心配

地面に近く、施工する材によっては冬場の底冷えが気になる土間。
バイクや自転車を置くくらいでしたら問題はないでしょう。

ですが、キッチンやダイニングテーブルを置くようなケースですと、この底冷えは大きな問題となります。
ですが、土間にも使える床暖房設備はありますのであまり大きな心配はありません。
少なくともこの土間部分だけでも床暖房を入れておくことをお勧めします。
多少コストはかかりますが、上記のメリットを充分に活用するためにはこの部分のコストを削ってはならないことになりそうです。

 

【デメリット2】部屋同士を分断することも

土間を設けようとする場所によっては、部屋同士の行き来が面倒になることもあります。
日本古来の家で見られる土間は、このタイプですね。

もちろん、2世帯住居では有利に働くケースもありますので時と場合によりけりのデメリットです。
もしも部屋同士を分断する(=世帯を区切るように土間を設ける)ならば、一部分だけでも板を渡すなど、水平に移動できる箇所を作っておかなくてはならないでしょう。
それと同時に、可能な限りキッチンやバスルームなど、共用しようと考える設備は親世帯の方に置くことが安心につながるはずです。
この「部屋同士を分断する」「土間にあるキッチンから食卓(居間)への食事の配膳が面倒くさい」ということで敬遠されてきた土間ですから、この部分を充分に検討し、土間の配置場所は充分に考えてください。

 

【デメリット3】将来的に段差が気になることになる

お施主さまがお若いうちでしたらよいですが、最終的にはフルフラットの家を希望することになるかもしれません。
年齢を重ねるにつれ、土間から居室の床面に上がり下がりするのは、面倒になってくるはずです。

これをクリアできるよう、将来的なリフォームを充分見通した上で土間を取り入れてください。
これは、建築家と相談に相談を重ねて、お施主さまたるあなたの将来の暮らし方まで見据えた上で決定しなくてはなりません。
数十年先のリフォームを始めから視野に入れておく必要があるからです。

 

「段差」をどう理解するかで大きく判断が分かれる「土間のある家」

段差があることが大前提の、土間のある家。
メリット・デメリットを以下におさらいしておきます。

  1. 【メリット1】屋内にありながらも、庭とのつながりを大きくできる
    バイクや自転車、家庭菜園、ガーデニングがご趣味の方にはとても便利な土間。
    土を付けたそれら趣味の品を、そのまま屋内に持って入れることは便利な事この上なし。
  2. 【メリット2】ちょっとしたお客様とのコミュニケーションにも
    昔の日本家屋の縁側のように、気軽にお客様に立ち寄ってもらえる。
    屋内なので、天候は気にせずにOK。
  3. 【メリット3】リビングの一部分を土間にすると汚れが気にならない
    リビング一部を土間にし、キッチンを置けば、汚れ対策もばっちり。
    さらにパントリーやごみの仮置き場を設ければ、お勝手口からの出入りでとてもラク。
  4. 【デメリット1】冬場の底冷えが心配
    どうしても地面に近い位置となる土間は、底冷えが心配。
    土間にも使える床暖房システムもあることから、この部分のコストは削らないように。
  5. 【デメリット2】部屋同士を分断することも
    2世帯住居ならば有利に働く面かもしれないが、その際には間取りに配慮が必要。
    キッチンやバスルームなど共用すると決めた設備は親世帯側に組み込めば安心。
  6. 【デメリット3】将来的に段差が気になることになる
    バリアフリー化という時流に逆らう部分でもあることから、将来が心配。
    将来フルフラットにできるよう、最初からリフォームありきで建築家に相談を。

 

このような、メリット・デメリットがありました。

ですが、「庭とのつながりを持たせよう」とする近年の家づくりの考え方の一翼を担うのが、この土間のある家でもあります。
特に家事に直結する部分でこの土間を採用しようとなると、後々「思ったより大変だった」という事にもなり得ますので、上記のメリット・デメリットを充分に比較検討した上で決定してください。

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