4階建ての家は都市部で大きなメリット!検討する前に知っておくことは?

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佐川旭建築研究所 佐川旭
佐川旭建築研究所 佐川旭
㈱佐川旭建築研究所の代表取締役を務める一級建築士。 認定NPO法人の理事としてアジアに学校を建設。これまで250校をつくる。生活総合情報サイト「All About」の「家を建てる」ナビゲーターなど多方面で活躍。「最高の住まいをつくる『間取り』の教科書」(PHP研究所)は6刷と多くの人に読まれ住まいや間取りに関する著書も多く間取り博士と呼ばれている。
4階建ての家は都市部で大きなメリット!検討する前に知っておくことは?

※この記事は「佐川旭建築研究所」さまによる専門家監修記事です

家を建てよう、と考えるとき、建物のイメージは敷地に大きく左右されます。お世辞にも広いとはいえない敷地の場合、2階では床面積が足りず、3階ないしは4階の家を検討しなければならないかもしれません。

4階建て住宅を検討しなければならなくなったケースで、家づくりに関し知っておかなければならないことは何でしょうか。そして、家族が住むだけでない4階建ての家の“活用法”には何があるのでしょうか。

今回は「4階建ての家」についてご説明いたします。

1.4階建ての家の価格

結論から言うと、4階建ての家の値段は、土地を含まず1億円を目安にしてください。まず、いわゆる「坪単価」をご説明しますと、木造の4階建てなら最低でも80~90万円、鉄骨造ならば90~100万円、鉄筋コンクリート造ならば110万円~120万円は必要です。

その他、4階建ての家が高額になるその理由を以下に示します。

1-1.将来を考えると「エレベーターも必要」

家を建てるということは、生涯その家で生活することをお考えであるはずです。高齢になる、子育てをする、生活に必要な品物のストックをする…様々なシーンで階段を使わなければならないのはすぐにわかりますね。

そのようなとき、後で「住宅用エレベーターがあれば…」と後悔しないよう、先に計画しておくべきといえるでしょう。

1-2.2世帯・3世帯住宅なら、それぞれに水まわり設備が必要

もしも2世帯住宅、ないしは3世帯住宅として4階建ての家を建てるのであれば、それぞれの階にミニキッチンを含めたキッチン、トイレ、場合によってはバスルームが必要でしょう。

その分設備費が上がる傾向にありますので、どうしても高くなってしまうのです。

1-3.プランニング・設計に時間とお金がかかる

プランニング・設計に時間とお金がかかる

4階以上になると、容積率や高さ制限など様々な制約が出てきます。それを最大限に活かしながら快適と感じられる空間を作るには、プランニングにじっくりと時間をかけなければなりません。

また、高い建物を建てるときには「構造計算」が求められます。鉄骨造、RC造ももちろんのこと3階以上の木造もこの構造計算を行わなければなりません。

地震や台風などで家に何らかの圧力がかかったとき、それに耐えられるかどうかの計算です。この構造計算は、「建築構造士」に委託し、木造3階建てであっても20~30万円かかってしまいます。

1-4.斜線制限などで形状が複雑化、建設費用が高くなる

高いビルやマンションの上層の一部が、斜めに切り取られたような形状になっているのを見たことはないでしょうか。これらは、他の建物の日照を邪魔しないよう、数種の制限により高さを斜線で制限するよう求められているからです。

「これ以上出てきてはダメ」と定められた斜線ぎりぎりに家を建てると、その分少しでも広く床面積は確保できるものの、形状が複雑になり、工事の工程が増えてしまいます。

ご存じの通り、建築物というものは形状がシンプルであればあるほど、そして階層も少なければ少ないほど安く・丈夫に作ることができます。これをあえて複雑にしようとする4階建ての家では、どうしても施工費用が高くなってしまいます。

1-5.建物をがっちり支えるだけの地盤工事が必要

もしも狭い土地に高い建物を建てようとするのであれば、地盤強度は大きな問題となります。たとえば、木造2階建て延べ30坪ならば2階建てでも30トン、3階建てなら45トンという重量となります。

さらに鉄骨造2階建て延べ30坪なら40トン、鉄筋コンクリート造2階建て延べ30坪ならなんと160トンもの重量となってしまうのです。

どの建て方にするのかにもよりますが、2階建てでもこれだけの重量となりますので、4階建てともなれば概ねこの倍を想定しておかなければなりません。地盤強度によっては、杭を打つなどが必要で、強固な地盤を確保するための費用もかさんでしまいます。

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2.4階建ての家のメリット・活用法

4階建ての家でコストが高くなりがちな理由をご説明してきましたが、これらは決してデメリットばかりではありません。4階建ての家ならではの「メリット・活用方法」もあるからです。

2-1.土地が高くても住みたい場所に住める

どうしても「ここに住みたい」というエリアが1坪当たりの価格が高い場所であっても、4階建て家なら居住空間を(完全に満足することはできずとも)確保することができます。

確かに建築費用は高くつきますが、場所の面で譲ることができないとき、4階建ての家で工夫することは可能です。

2-2.「店舗併用住宅」や「賃貸」で副収入

立地がよければ1階部分を店舗とする「店舗併用住宅」として建てる、もしくはいずれかの階を賃貸住宅にすることで収入源とする活用法も考えられます。そういうときこそ、ハウスメーカーや工務店ではなく、建築家と作る「注文住宅」が活かせます。

ご自信のご家族の将来と共に、どのような入居者を迎えたいか、入居者との“距離のとり方”など、デリケートなプランニングが必要だからです。

3.木造で4階建ての家は実現するか

木造で4階建ての家は実現するか

結論からいうと、可能です。実際、ハウスメーカーの作る4階建ての家はツーバイフォーがほとんどで、木造住宅です。このようなラインナップは

  • 1時間耐火構造
  • ファイヤーストップ構造
  • 延焼を食い止める外壁
  • 家屋内部への延焼拡大を抑制する構造

を実現し、「国土交通大臣耐火構造」認定を受けています。

3-1.注文住宅+木造住宅で4階建ての家は建てられるのか

「できればハウスメーカーではなく、注文住宅で可能な限り自由に木造の家を考えたい」という場合、4階建ての家は実現できるのでしょうか。答えは「限りなく可能に近いといえる」、です。

というのも、既に木造4階建ての商業ビルが多く“お目見え”しているからです。その皮切りともいえるのは、横浜市の大型商業施設「サウスウッド」とされています。長野県産のカラマツを特殊加工した木材を使用することで強度と防火性能を高めることで、2000年に改正された建築基準法にかなうものとなったのです。この後、木造4階建ての実例は増え続けています。

近年では、CLT(Cross Laminated Timber=クロス・ラミネーテッド・ティンバーの略。木の板の目が直交するよう張り合わせた加工木材)の使用により強度と耐火性を保った木造の建物が許可されるようになっています。

ヨーロッパではこのCLTを用いた10階建てのビルまであります。日本では遅れを取っている状況ではありますが、豊富な木材資源の有効利用の面からもこのCLTの使用が促進され、2016年4月には

  • CLTを用いた建築物の設計法
  • CLT材料の品質
  • CLT部材の燃えしろ設計(※燃えしろ設計=表面が燃えても耐力上支障の無い大断面とする)

が告示されました(CLT関連告示の公布・施行│一般社団法人日本CLT協会)。

今後、CLT材の価格がこなれて供給が安定してくれば、一般家屋でも利用されることが増え、4階建ての家もある程度自由に作ることができるようになるでしょう。

4.注文住宅で4階建てを作るときのポイント

4階建ての家を注文住宅で、とお考えの方にお伝えしたいことがあります。それは、4階建ての家ならではのチェック項目ばかりですので、欠かさずご確認ください。

4-1.依頼する先に一級建築士がいるかどうか

依頼する先に一級建築士がいるかどうか

建築士には、一級と二級とがあります。それぞれ何が違うのかは「建築士法」で定められていて、第3条には一級建築士でしかできない仕事が定められています(建築士法│e-Gov)。

第三条 左の各号に掲げる建築物(建築基準法第八十五条第一項又は第二項に規定する応急仮設建築物を除く。以下この章中同様とする。)を新築する場合においては、一級建築士でなければ、その設計又は工事監理をしてはならない。

一 学校、病院、劇場、映画館、観覧場、公会堂、集会場(オーデイトリアムを有しないものを除く。)又は百貨店の用途に供する建築物で、延べ面積が五百平方メートルをこえるもの

二 木造の建築物又は建築物の部分で、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルを超えるもの

三 鉄筋コンクリート造、鉄骨造、石造、れん瓦造、コンクリートブロツク造若しくは無筋コンクリート造の建築物又は建築物の部分で、延べ面積が三百平方メートル、高さが十三メートル又は軒の高さが九メートルをこえるもの

四 延べ面積が千平方メートルをこえ、且つ、階数が二以上の建築物

前後の関連がありわかりづらいので少し要約してみると、一般住宅にかかる項目として「一級建築士でしか取り扱えないもの」は、

  • 木造の場合、高さが13メートル以上または軒の高さが9メートルを越えるもの
  • 鉄筋コンクリート造・鉄骨造などで、高さが13メートル以上または軒の高さが9メートルを越えるもの
  • 延べ床面積が1,000平方メートルを越え、なおかつ2階以上の建物

である、ということです。

4階建ての家は、概ね10メートルを越えるものとなりますので、一級建築士でないと設計できないこととなります。

4-2.店舗や賃貸住宅と併用する場合「干渉しない距離感」を保つ

住宅+店舗、ないしは住宅+賃貸住宅とする場合、貸し出す部分がご家族や近隣に大きな影響を与えないよう丁寧にプランニングする必要があります。あえて4階建てにしようとしているのは、おそらく家の密集した人気エリアであるはずですので、人の出入りの気配や貸し出した店から出る騒音、賃貸物件なら生活音が漏れ出ないよう工夫をしなければ「ご近所迷惑」となってしまいます。

また、「大家が上階にいる」ことは、どうしても借り手に見えないプレッシャーを与えてしまいます。まるで二世帯住宅(分離型)のように、相互の存在感を感じさせないようにするべきでしょう。

そのあたりの配慮ができる、実績のある設計士に依頼をしなければなりません。できれば土地選びの段階から相談できる相手を探し出してください。

4-3.実績ある設計士+ご指名の工務店で「快適な4階建て」

本来ならば、適切な価格で仕上げられるよう設計士が工務店などに「相見積もり」を取るものです。しかしながら、4階建ての家、とくに木造のものともなるとどうしても工務店の得手・不得手が現れます。

依頼した建築士が知る、4階建ての家の建築に長けた工務店に素直にお願いするのが後の問題発生率をぐっと下げてくれます。

5.のちに4階建ての家にリフォームすることは可能?

3階建ての家を4階建ての家にリフォームする、それはおおよその場合で「難しい」といわざるを得ません。というのも、既に3階建て用に階層ごとの高さを導き出し、最大限に利用しきっていることが考えられるからです。

特に、1階を店舗としているような場合、1階部分だけでそこそこの高さを確保しているでしょうから、「後付け4階部分」に割ける高さは残っていないでしょう。

また、改めて構造計算をしなければならない上、今の家に「継ぎ足す」こととなり手間がかかりすぎ費用も膨らんでしまうことで、断念される方も少なくありません。

もしも3階建てでは不足かもしれない、と思われたのであれば、最初の段階で4階建ても選択肢の一つにいれ総合的に判断するのがよいでしょう。

まとめ

近年、郊外住宅地から都市部へ住まいを構える「逆ドーナツ化現象」「都心回帰」が顕著になりつつあります。その流れにつれ、都市部の土地は高騰しています。このようなニーズに対応してくれる家の建て方のひとつに4階建ての家があります。

敷地面積が狭くとも暮らしやすいのっぽな住まい、4階建ての家を建てるにあたり知っておきたいことは次の6点です。

  1. 4階建ての家を建てるときは、「建物だけでも1億円」を覚悟する。つくりによっては各種設備費がかさむことも考慮
  2. 高い建物を建てるときには構造計算が求められる。また、家の形状の複雑化・地盤工事により建築費用が高くなってしまう
  3. 土地が高いエリアに家を持てるのが4階建ての家のメリット。一部を店舗や賃貸物件にすることで「収入源」とすることも可能
  4. 木造の4階建ての家は、ハウスメーカーが既に手がけている。CLT材が一般化すれば、注文住宅の木造4階建ても夢ではない
  5. 4階建ての家に慣れた一級建築士と、その施工に応えられる工務店の組み合わせで、建築後の問題の少ない家が実現する
  6. もしも2世帯住宅が欲しくなるかも、など将来的に空間不足などの悩みが発生しそうなら、はじめから4階建てで検討を

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